当寺は石雲山常仙寺と称し、開山は祥岩存吉禅師で、慶長7年(1602年)江戸・麹町に創建されました。一般には寅薬師として知られています。ご本尊の薬師如来像は、永禄(1558~1569年)ころまで、三河国鳳来山(愛知県設楽郡)の麓に祀られてありました。その頃、祥岩禅師はご出家される前で安田某と名乗っておられました。

ある時、旅の途中、鳳来山の麓で突然に狼の群れに襲われ、近くにあった小さなお堂に逃げ込みました。しかし、狼らはお堂の側から去っていきません、そこでお堂の中に鎮座しておられた薬師様に助けていただくよう一心にお祈りしました、すると一匹の虎があらわれ、狼の群れを追い払ってくれました、お薬師様が虎に化身され、危機を救って下さったのです。安田氏は報恩感謝し、その後、出家して江戸に出て麹町に常仙寺を建立し、三河国からこの薬師像を奉持してご本尊といたしました。この話が江戸市中に広がり「災難除けの寅薬師」として知れわたり、多くの人々の信仰を集めました。江戸城の外堀の内にあった当寺を、徳川家康公も徳川家守護の祈願仏とされ、また毎月8日、12日の縁日には、市中の人々の参詣で賑わったといわれています。
また「虎は一日千里の道を行って還る」といわれることから、旅に行く前は無事の帰還を願い、寅薬師をお参りしてから旅に出かける、という人々も多くあった、とも伝わっております。このような形で江戸の民間信仰の中に深く機能し、それ故に創建以来400年の間、何度も大火や地震といった災害に建物や什物・記録も失ったにもかかわらず、その都度、再建され、今日に至ります。明治41年、当地に移転し、現在は静かな住宅街の中にあり、昔のような賑やかさこそありませんが、今も変わらず寅薬師・常仙寺の名は近所の人々や商店街などで知られており、参詣に来られる方も多くございます。どうぞ皆様、厄除けのお薬師様の限りないご加護をお受けいただくようお祈り申し上げます。




正式名称 石雲山 常仙寺
宗 派 曹洞宗
住 所 杉並区和田1-68-11
本 尊 本尊薬師如来坐像





本堂

本堂内



薬師堂

客殿



六角塔と観音合祀墓

駐車場